研究概要 |
ASK1がケラチノサイトのアポトーシスを誘導するかどうか検討した。Ad-1W,Ad-β-gal,をコントロールとしてAd-ASK1-ΔNをMOI5,50で感染させ、形態変化を観察した。24hでは、大きな形態変化はない。48h後には、従来他の細胞で報告されているようにMOI50で、ケラチノサイトはアポトーシスを起こした。TUNEL法にてアポトーシスを確認した。しかし、Ad-ΔN-ASK1のMOI5では、アポトーシスは起こさず細胞が大型化・扁平化し、分化と考えられる形態変化を示した。TUNEL法にても陽性細胞はほとんど見られない。ASK1がケラチノサイトのアポトーシスを起こすことが確認できたが、低いdoseでは分化を起こすことが示唆されるので、次に分化マーカーを調べた。 InvolucrinタンパクはWestern blot法,Transglutaminase-1 mRNAはNorthern blot法にて調べた。MOI5でASK1-ΔNはInvolucrinタンパク、Transglutaminase-1 mRNAを誘導していた。この変化は代表的なケラチノサイトの分化誘導因子である10%FCS含有培養液による誘導と同様である。形態変化とも考え合わせると、MOI5のASK1-ΔNはケラチノサイトの分化を引き起こすと考えられる。 ASK1-ΔNによるケラチノサイトの分化誘導時に、ASK1の下流にあるJNKとp38MAP kinaseの活性が誘導されているかどうか検討した。Ad-ASK1-ΔNをMOI5で感染させ、時間を追って活性を検討したところ、ASK1タンパクの出現パターンとほぼ一致して6-12時間後よりJNKとp38MAP kinaseの活性の上昇が見られたことから、ASK1はケラチノサイトのSEK1-JNKとMKK3/MKK6-p38MAP kinaseのカスケードを活性化していると考えられる。
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