研究概要 |
紫外線反復曝露により起こる皮膚の変化は光老化であり日光弾性線維症と呼ばれる現象が真皮に認められる。紫外線曝露は活性酸素種を発生させる酸化ストレスの代表であり長期紫外線反復照射は酸化ストレスの繰り返しに他ならない。酸化ストレスによって生じるO^-_2をはじめ活性酸素種の長期にわたる生体への曝露は重要で、抗酸化機構の変化ひいてはRedox制御を介し他のシグナル伝達系にも影響を与えると考えられる。紫外線特に長波長紫外線(UVA)の光老化における関与を検討すべくSKH1-hrBR hairless mouse(♀)6週令を用い動物実験を行った。30J/cm^2のUVAを1日4時間で週あたり5日照射する群で照射後0ヶ月、4ヶ月、8ヶ月、12ヶ月の4群を光老化群とした。照射群と対応させた非照射4群を生理的老化群とし、平成11年度の1年でモデル作りを完了した。日光弾性線維症の形成に関与していると考えられるtropoelastin,matrix metalloproteinase(MMP)の各酵素を経時的に観察した。各群のマウス背部より皮膚を採取し、形態学的検索、免疫染色法、線維芽細胞培養に供し残りを迅速に凍結保存した。培養線維芽細胞凍結皮膚よりRNAを抽出しReverse transcription-polymerase chain reactionにより経時的変化を定量的に観察した。またMMPの活性をみるため培養線維芽細胞の上清、すりつぶし凍結皮膚よりzymographyを行った。日光弾性線維症に関する本実験ではその形成にMMP9の強い関与が解明され現在投稿中である。光老化の特徴である日光弾性線維症が真皮に認められる事は慢性の紫外線照射による結果であり酸化ストレスの蓄積による抗酸化機構の変化も興味深い。本実験では抗酸化機構の代表的酵素としてO^-_2を消去するSuperoxide dismutaseの転写段階における定量的観察をRT-PCRを用い行った。結果は投稿準備中であり平成13年度末には報告予定である。
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