真皮メラノサイトの出現する疾患の中で、遅発性メラノサイトーシスと呼ばれるカテゴリーが定着してきた。われわれが報告した高齢者男性背部に出現する型意外にも、かなりの報告が主として本邦からなされている。 本研究で明らかにし得たこと 1)われわれは従来肝斑と診断されてきた臨床像を呈する色素斑のなかに、かなりの頻度で真皮メラノサイトーシスが含まれていることを明らかにしてきた。本病の発生にも紫外線の関与が考慮された。本症を後天性太田母斑様色素斑の頬部型と仮称した。 2)真皮メラノサイトは血管周囲に分布することを明らかにした。われわれはon-human primateにおいて、真皮メラノサイトが血管周囲に分布し、鞘状を呈することを明らかにしてきた。今回の研究ではヒトの青色母斑98例の生検材料にて、病理組織・電顕および免疫組織学的に検討し、同様に血管周囲に分布することを確認しえた。いずれも静脈の周囲で、動脈には認められなかった。このことは血管色素性母斑の分布などにきわめて重要な情報となる。 3)真皮メラノサイトが線維増殖性疾患に伴って出現する。基底細胞癌などに際し、繊維増殖が見られるが、その部に限局して真皮メラノサイトが認められる現象を発見した。
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