研究概要 |
腋臭症患者の腋窩皮膚より単離したアポクリン腺を-70℃で保存し、実験の際にはこれを5%ホモジネートとした。^3H-アンドロステンジオン200nMを基質とし1mMNADPH存在下に20分インキュベートした。抽出した代謝産物のうちテストステロンを薄層クロマトグラフィー、高速液クロにより同定し、その放射活性と組織のタンパク濃度から17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β-HSD)の活性を計算した。 (結果)(1)昨年度報告したごとく、活性のピークは5.5と9.0の二カ所にみられた。このうちpH5.5のピークはタイプ3の至適pHと一致するが、pH9.0についてはこれまで報告された6つのアイソザイムのどれにも合致しない。そこで、確認のため再度実験を行ったが、同様の結果が得られた。(2)これら二つの活性のピークは異なるアイソザイムに相当すると考えられる。次にこれら二つの活性の細胞内局在を知る目的で、新鮮な単離されたアポクリン腺約2gをホモジナイズし、500×g、10,000×g、105,000×gの順に遠心分離して、核、可溶性、ミトコンドリア、ミクロゾーム分画を採取し、それぞれの分画についてpH5.5、pH9.0における17β-HSD活性を測定した。なお、pH9.0ではタイプ1の5α-リダクターゼによる基質の分解を抑制するため、阻害剤としてMK386100nMを加えた。その結果、いずれのpHでも17β-HSD活性は可溶性分画に最も高く、これはHodginsらのデータに一致した。しかし、他の三分画にも低いながら活性があることから、単一の分画に特定のアイソザイムが局在するという結果が得られなかった。これは細胞成分の分画操作に問題がある可能性がある。
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