1)リーシュマニア原虫のferrochelataseのcDNAを同定するため、今まで報告されたferrochelataseの塩基配列、またアミノ酸配列も同様に検索し、ヒト、マウス、ウシ、ニワトリ、カエル、カビに共通な部分に4対のprimerを設定した。 対象としたリーシュマニア原虫は、WHOに登録された14株、またコントロールとしてナマケモノから樹立されたエンドトリパーヌムの2株を用いた。 使用したconsensus primerは下記に記載した。 F1;5'-ATATTAATGYTRAACATGGG-3' F2;5'-ATTGGAGGCGGATCVCCSAT-3' F3;5'-CCCAACACAGCMCCBCAYAA-3' F4;5'-GGAGCACTATYGACNGRTGG-3' R1;5'-TCAATAGTRCTCCAYTTSAT-3' R2;5'-GACATCGGCAGNGAGTGRGC-3' R3;5'-GGACCAACCTKGGAYTGCCA-3' R4;5'-TCATACAGCGTYTCRATRTG-3' 継代・培養した16種のリーシュマニア原虫から、total RNAを抽出し、cDNAを作製した。そのcDNAをtemplateとして、上記primerの組み合わせを用いてRT-PCRを行った。予想サイズに一致するいくつかのPCR産物が得られ、ゲルから切り出し、そのDNA断片をpT7 blue T vectorに組み込み、5HdαE.Coliを形質転換した。さらにplasmidを回収し、HITACHI SQ5500 sequencerでDNA断片の塩基配列を解読したが、ferrochelataseの塩基配列と相同性の高い結果は得られなかった。今後、PCRの条件やprimerを変えて、検討していく予定である。 2)対象にした原虫のうち、ナマケモノから得られたEndotrypanumに単一のバンドが得られ、その塩基配列がリーシュマニア原虫とエンドトリパーヌムを区別可能であることが推測されたため、Am.J.Trop.Med.Hyg.に投稿したが、データが不十分とのコメントがあり、再投稿準備中である。
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