Human immunodeficiency virus(HIV)に対するDNAワクチン作製を行った。特に、ワクチン接種の方法として、経皮的接種で免疫能が上昇するかの検討を行った。DNAワクチンはHlV-1のenvおよびrev遺伝子をもとに作製した。IL-12をプラスミドDNAの形にして免疫修飾も行った。実験動物にはマウスを用い、免疫能は抗体産生、遅延型過敏反応(足の腫脹測定、DTH)、CTL活性などを指標にした。経皮的に接撞(外用)するのみでは、強い免疫能は得られなかったが、表皮を数層剥がす(ストリッピング)ことで免疫能(抗体産生、DTH、CTL)は上昇した。その程度は経鼻的、経筋肉的接種にも匹敵するものであった。さらに、経度的接種にIL-12プラスミドDNAを同時に用いると、2倍以上のDTH活性を得ることができた。 接種後の脾臓リンパ球からのサイトカイン値の検討では、IL-12プラスミドDNAを用いる経皮的接種は経筋肉的接種、単純経皮的接種よりもそれぞれlFNγは2倍、2倍、IL-4は4倍、1倍の増加を示した。 従って、皮膚をテープなどで、薄くし(ストリッピング)、その皮膚にワクチンを接種(塗布)することで、免疫活性が筋肉注射と同等に得られ、さらにサイトカインを用いると、活性はさらに上昇することが判明した。今後の問題点は経皮的操作は、Th1のサイトカインよりもTh2のサイトカインをより活性化するので、Th1の活性化を誘導する、プラスミドDNAを開発する必要がある。
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