研究概要 |
ハプテンの繰り返し塗布により、皮膚及びリンパ節において産生されるサイトカインのパターンがT_H1からT_H2へとシフトするが、そのシフトが生ずる機序につき検討を行った。 1.急性期と慢性期のリンパ節細胞を摂取し、フローサイトメトリーを用いた細胞内サイトカイン染色により、IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-10がどの細胞から産生されるかの検討を行った。驚いたことに、全体としてT_H2サイトカインにシフトした慢性期リンパ節においても、主たるIFN-γ産生細胞であるCD8^+T細胞(Tc1)の頻度は急性期と同じ位認められた。主たるIL-4産生細胞であるCD4^+T細胞の分布密度が、慢性期では3倍に増加することが判明した。 2.NK1.1やγδ細胞などのIL-4産生細胞数は、急性期、慢性期でとくに差違は認めなかった。 3.慢性期リンパ節細胞を用いたin vitroの培養系において、培養上清中のIFN-γは急性期リンパ節細胞と比べて著明に低下している。この慢性期リンパ節細胞に抗IL-4抗体及び抗IL-4R抗体を添加することにより、IFN-γ産生能はある程度回復することが明らかになった。 4.慢性期リンパ節細胞ではIL-4産生が早期に起こるため、IFN-γ産生が著明に抑制される可能性を考え、急性期慢性期リンパ節細胞からのIFN-γ,IL-2,IL-4,IL-10などのサイトカイン産生のkineticsを、フローサイトメトリーを用いた細胞内サイトカイン測定により検討した。その結果、急性期、慢性期リンパ節細胞からのこれらのサイトカイン産生のkineticsは差が認められなかったことより、この可能性は否定的と考えた。
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