研究概要 |
我々は、マウスにハプテンを連続塗布することにより、アトピー性皮膚炎(AD)類似の免疫反応を呈する動物モデルを確立している。本研究ではこのモデルを用いて、ADにおけるTh2優位の反応がもたらされる機序の解明を試みた。このモデルにおいては急性期のリンパ節細胞(LNC)はTh1優位であり、慢性期ではTh2優位となる。サイトカインの産生は、主にフローサイトメトリーを用いた細胞内サイトカイン測定により行った。驚いたことに、急性期、慢性期におけるIFN-γ産生細胞(CD8,CD4とも)の頻度においては有意差を見出せなかった。一方、IL-4産生CD4^+、γδ^+、NK細胞は慢性期において増加していた。しかし、抗IL-4抗体や抗IL-10抗体を培養系に加えても、慢性期LNCからのIFN-γ産生は、急性期LNC程には回復しなかった。そこで、IL-12を産生するCD11c樹状細胞(DC)の頻度を検討したところ、慢性期LNCにおける著明な減少を認めた。以上の結果より、慢性期LNCにおいてはCD4T細胞、γδT細胞、NK細胞からのIL-4の増加と、IL-12産生性CD11cDCの減少という2つの要素により、IFN-γなどのTh1サイトカインを産生するT細胞(CD8,CD4)は、活性化を阻害される結果として全体としてTh2にシフトするものと考えられた。
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