平成11年度の研究結果より末梢血単核球のConA刺激培養上清にて末梢血から誘導されるラングハンス型および異物型多核巨細胞(MGC)の前駆細胞は単球であることが示唆された。さらに詳細に検討したところ、GM-CSF刺激単球からはM-CSF誘導マクロファージからと同様にMGCの形成が乏しく、また、CD14++16-、CD14+16+単球を比較すると、CD14++16-はMGCを形成したが、CD14+16+では認められなかった。そのため、MGC形成に関わる細胞はCD14++16-単球であることが判明した。次にMGC形成に関与するサイトカインを抗サイトカイン抗体を用いた中和実験で調べたところ、両MGCの形成にはIFN-γが必須であり、一方、IL-3、GM-CSFはConA刺激培養上清のみで誘導されたラングハンス型MGCの形成に関与していることが示唆された。しかし、ConA刺激培養上清にMDPを加えて誘導されるラングハンス型MGC形成に対してはそれらサイトカインでは完全に抑制されないことから、MDPは他の因子を介してラングハンス型MGCを誘導することが想定された。次に、サルコイドーシス患者の単球のMGC形成率を調べたところ、正常人よりも有意に形成の上昇が認められ、eATP処置後のLDH遊離アッセイによりプリン受容体の発現亢進がサルコイドーシス患者での高いMGC形成に関与していることが示唆された。また、サルコイドーシスでその臨床効果が報告されているトラニラストはこのようなMGC形成を抑制し、単球のCD54発現を低下させたため、単球に直接作用し奏効すると考えられた。
|