研究課題/領域番号 |
11670857
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
駒井 礼子 久留米大学, 医学部, 助手 (70281532)
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研究分担者 |
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
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キーワード | 水疱性類天疱瘡 / 自己免疫性天疱瘡 / 自己抗体 / 腫瘍随伴性天疱瘡 / ヘミデスモソーム / リコンビナント蛋白 / BP230 / BP180 |
研究概要 |
培養ケラチノサイトから単離したmRNAを用いて作成したcDNAライブラリーをテンプレートとしたPCR法により、全長BP230をカバーする異なった3つcDNAを得て、それぞれを大腸菌発現ベクターpGEXに組込み、大腸菌XL1-Blueにトランスフェクトし、GSTとのリコンビナント融合蛋白を作製した。その蛋白を用いた免疫ブロット法で、水疱性類天疱瘡血清は高率に全ての部位に反応し、他の疾患血清は全く反応しないことが判明した。今後、この蛋白を用いた免疫ブロット法ないしELISA法は水疱性類天疱瘡の診断に有用なものとなると考えられる。また、腫瘍随伴性天疱瘡、疱疹状天疱瘡などの天疱瘡群の患者血清にも抗基底膜部抗体が存在することが示唆されているが、その抗体は水疱性類天疱瘡の病原抗体とは異なる可能性が示唆された。今後、得られたBP230の全長cDNAを用いて表皮基底膜部の接着に関するBP230の役割について検討したい。同様に、BP180の細胞外部位の全長をカバーする3つの部分をコードするcDNAをPCR法により作製し、それぞれのGSTリコンビナント融合蛋白を作製し、さらに1% Triton Tris-bufferで抽出後、グルタチオンカラムを用いて蛋白を精製した。その蛋白を用いた免疫ブロット法で、水疱性類天疱瘡、妊娠性疱疹血清は高率にN末端部に反応し、瘢痕性類天疱瘡血清はC末端部に特異的に反応することが判明した。これらの蛋白を用いた免疫ブロット法ないしELISA法は水疱性類天疱瘡と瘢痕性類天疱瘡血清の鑑別に有用なものとなると考えられる。さらに、線状IgA水疱性皮膚症の血清はBP180のN末端のうち水疱性類天疱瘡特異的エピトープの存在するNC16aよりC末端部に特異的に反応することが示唆された。今後、線状IgA水疱性皮膚症の反応するエピトープをより詳細に検討し、その病因を解析したい。
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