研究概要 |
乳癌、前立腺癌からの転移性骨腫瘍では骨髄への転移により、周囲の骨組織の破壊が起きる。修復機序として新生骨の生成が盛んになり化骨が起きる。骨親和性放射性薬剤によるオートラジオグラフィの研究では骨転移部ではなく、その周囲の新生骨にこれらの放射性薬剤が著明に集積することが証明されている。新生骨へのCa-45およびP-32の集積増強を図るため下記のイン・ビトロ実験を施行した。 ヒト胎児頭頂骨から樹立された骨芽細胞(SV-HFO)を10%牛胎児血清含有αMEN培地で培養し、β-glycerophosphate(β-GP),1,25(OH)2D3(D3),F6-1,25(OH)2D3(F-D3)の薬剤がCa-45およびP-32の骨芽細胞への摂取にどのような影響を及ぼすかを検討した。 1)Ca-45の摂取は0-10mMのβ-GPの存在下では濃度依存性に増加し、7.5mM以上でプラトー状態となった。P-32の摂取はβ-GPの存在下では極めて低く、増加はみられなかった。 2)Ca-45の摂取はβ-GPの添加条件でD3を更に添加すると1.4倍の摂取増加が認められた。 3)Ca-45の摂取はβ-GPの添加条件でF-D3を更に添加すると、D3に比べて20倍の摂取増加が認められた。 以上の結果から、β-GPの添加培地にF-D3を更に添加するとCa-45の骨芽細胞への著明な摂取増加が確認された。F-D3は薬剤として臨床使用が可能であり、Ca-45の骨芽細胞への摂取促進剤として期待できる。
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