研究課題/領域番号 |
11670878
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柴 和弘 金沢大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (40143929)
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研究分担者 |
森 厚文 金沢大学, アイソトープ総合センター, 教授 (90019604)
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キーワード | アセチルコリントランスポーター / ヨードベサミコール / アルツハイマー病 / 放射性薬剤 |
研究概要 |
我々はこれまでにアルツハイマー病を含む痴呆疾患の核医学的手法による客観的診断を目的として、シナプス小胞アセチルコリントランスポーター(VAChT)の画像化を目指し、放射性ヨウ素標識(-)-m-iodovesamicol((-)-mIV)を合成し、その有用性を示してきた。一方、基本化合物であるvesamicolおよび(-)-mIVが脳内でVAChT以外にハロペリドールにより特異的に阻害される脳内結合部位にも結合することがわかった。そこで、VAChTのみに特異的に結合する放射性薬剤の開発を目指し、本年度はvesamicol類に見られる2つの結合部位の脳内部位別分布およびアセチルコリントランスポーター(VAChT)にのみ特異的に結合するvesamicol類の開発について検討した。その結果、2つの結合成分の存在比はラット脳の部位により大きく異なり、線条体ではVAChT(成分1)と成分2の比が5:1とVAChT(成分1)が多く、反対に小脳ではその比が1:4と成分2のほうが多かった。このことから大脳皮質と小脳と[^3H]vesamicolを用いたインビトロ薬物阻害実験により、VAChTに特異的に結合するvesamicol類似体の合成を検討した。その結果、(-)-oIVが線条体でIC_<50>値が(-)-mIVと同じで、小脳では(-)-oIVのIC_<50>値が(-)-mIVに比べ4倍大きな値であった。このことから(-)-oIVは(-)-mIVよりVAChTに対する結合特異性に優れており、放射性ヨウ素標識(-)-oIVが(-)-mIVより結合特異性に優れたアセチルコリントランスポーターマッピング剤の可能性が示唆された。今後、学習障害モデルラットを用いて、二つの結合成分の分布変化ならびに放射性ヨウ素標識(-)-oIVの痴呆診断薬としての可能性を検討していく予定である。
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