研究概要 |
原発性悪性骨腫瘍や悪性腫瘍骨転移では骨破壊が起こり、重篤な骨の痛みが生じるため、骨疼痛緩和の治療は重要である。申請者は、従来にない新しいタイプの腫瘍画像薬剤として,腫瘍の低pH部位に集積するpH感受性薬剤,ジメルカプトコハク酸テクネチウム(V)多核錯体(Tc(V)-DMS)と同族体であるβ線放出核種レニウム-186(Re-186)含む、Re(V)-DMSを開発しました。本研究の目的はTc(V)-DMSとRe(V)-DMSの両者について、種々の培養細胞系及び動物を用いて検討した。まずマウスにおいてグルコ-ス負荷によりpH低下を誘導するとTc(V)-DMSは骨組織へのTc(V)-DMSの取込み率が増加することを認めた。骨代謝は骨の吸収と形成の組み合わせで構成されることから、まず破骨細胞のアシドーシスでのTc(V)-DMSの取り込みの相違を検討した結果、破骨細胞は細胞外のpHの低下(破骨細胞の活性化)とともにし顕著に取り込み率が増加した一方、骨芽への取り込みは低い事と臨床用骨シンチのTc-HMDPが骨芽細胞に多く取り込まれ異なる性質を見出した。かつこのTc(V)-DMSは破骨細胞への取り込においてリン酸と同様の挙動を取り、破骨細胞のリン酸運送に関係するNa+依存性リン酸トランスポータを介して取り込まれました。上述の事から、Tc(V)-DMSが骨芽細胞よりも破骨細胞に優先的に取り込まれる事についで確証を得た。これからによって活性な破骨細胞の有無や骨局在部位が特定可能となり、破骨を標的となる(溶骨性転移)治療法の適用可否を確実に決定できる用になると考えられます。
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