制癌剤に対する耐性を示す細胞では多剤耐性遺伝子としてMDR1、MDR2遺伝子の発現が増強していることが示され、これらの遺伝子はイオンチャンネルと関連していることを明らかにした。一方、制癌剤に対する耐性は他にもいくつかの機構が存在することが報告されている。著者らは癌細胞のアルキル化剤に対する感受性に06-methylguanine-DNA methyltransferase(MGMT)が関連しているかどうかについて検討をした。著者らは、いくつかのヒト悪性腫瘍細胞株を用いて、メチル化によるMGMTの発現低下がアルキル化剤の効果に影響を受けるかどうかを検討した。まず、ヒト悪性腫瘍細胞株7株で、アルキル化剤MNUへの感受性について、生存率から耐性株と感受株に分類した。さらに、プロモーター領域についてTa cloningを行い、bisulfate sequencingを行った.Sequencingの結果、耐性株では、プロモーター下流および第一エクソン内にメチル化を認めた。それに加え、感受株では、プロモーター上流にもメチル化を認めた。以上のことから、プロモーター下流および第一エクソン内のメチル化以上に、プロモーター上流のメチル化がアルキル化剤への細胞の感受性を反映している可能性を明らかにした。その上、各細胞でのMGMT発現についてRT-PCRを行った結果、プロモーター上流にメチル化が認められた群では、MGMT発現が低化していることを認めた。
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