研究概要 |
今回の科学研究費補助金研究成果を以下に示す。 (1)核医学で使用される肺血流シンチグラフィ製剤の大凝集アルブミン(MAA)と同様に微小塞栓原理により肺に集積分布するGd-DTPA-マンナンでコーティングしたリポゾームを用いた磁気共鳴画像(MRイメージ)による肺血流イメージの前年度研究成果を欧文雑誌Investigative Radiologyに投稿し平成13年4月号に載予定となった。本研究過程でオレイン酸肺水腫モデルおよび放射線肺炎犬肺モデルによりGd-DTPA造影ダイナミックMR像の検討も合わせて行ない、オレイン酸肺水腫モデルと放射線肺炎における本MR画像の特徴的所見をそれぞれ論文にまとめ、いずれもJournal of Magnetic Resonance ImagingおよびInvestigative Radiologyに記載予定となった。 (2)我々は、また、造影剤を使用せずに肺血流MRイメージの撮像が可能な方法として、心電図同期2次元short-echo-spacing half-Fourier fast spine echo(FSE)撮像法を開発した。生理的な肺局所の換気を反映した良好な肺MR血流イメージが得られ、犬8頭で作成した肺塞栓症モデルでは、本MR画像により、造影剤を用いたダイナミックMR像と同等に肺血流低下/欠損域の検出が可能であった。この研究成果は欧文雑誌Investigative Radiologyに投稿し本年中に記載予定である。さらに、本研究過程で塞栓肺領域において時間経過とともに気管支動脈血流が増加してくる様子が、Gd-DTPA造影ダイナミックMR像により検出可能であることも見い出し、この研究成果は現在、欧文雑誌に投稿準備中である。 (3)さらに、核医学で使用されるエアロゾール肺換気シンチグラフィの原理を応用し、Gd-DTPA生理食塩水を超音波ネブライザーでエアロゾル化して吸入させ肺信号を上昇させて肺換気MRイメージを得る方法を開発した。8頭の正常犬での検討では、良好な肺換気イメージが得られ、これらの犬に作成した気管支閉塞モデルでは、気管支閉塞肺領域にGd-DTPAエアロゾルの流入欠損域として描出され、気管支閉塞による換気障害が検出された。また、他7頭で作成した肺塞栓症モデルでは、本法と上記の心電図同期非造影肺血流MRイメージの併用により、塞栓肺領域で肺動脈血流は低下/欠損するが換気は保たれた状態(換気-血流ミスマッチ)が正しく診断された。この研究成果は欧文雑誌Investigative Radiologyに投稿し,本年中に記載予定である。
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