研究概要 |
胆管癌の局所浸潤(脈管浸潤,膵浸潤,神経叢浸潤)を造影剤急速静注後のthin sectional helical CTにより評価し,手術所見および摘出標本の病理組織像との対比検討を行った. 本年度は下部胆管癌の術前患者3例(男性1例,女性2例)に対して施行した.全例tubular adenocarcinomaの組織診断が得られている.CTはスライス厚5mm,テーブル移動速度5mm/秒に設定し,造影剤を3.0ml/秒の速度で急速静注した後に,40秒(動脈優位相),70秒(門脈優位相),150秒(遅延相)のタイミングで撮像した.また画像再構成間隔は2.5mmとした. 結果として3例ともに腫瘍の同定が可能であった.周囲膵実質と比較した場合,3例とも動脈優位相では低吸収域を示した.大部分の病変は造影後の遅延相で高吸収域を示し,線維化の存在や腫瘍の分化度を反映するものと思われた. 脈管浸潤に関しては,腫瘍と脈管との連続性もしくはその接する範囲により,膵浸潤については胆管腫瘤と膵実質との境界の不明瞭さにより,それぞれ評価を行い,sensitivity100%,specificity98%の診断が得られた. Thin sectional helical CTは胆管癌の局所浸潤の評価に有用であると思われる.
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