【目的】血管内超音波(intravascular ultrasound:IVUS)は血管壁の内部構造の観察に有用である。IVUSの動脈硬化性プラークの組織性状の質的診断能を調べる目的で、家兎大動脈に2種類のプラーク(線維性、脂肪性)を作成し、in vivoでのIVUS画像とその病理組織像を対比した。 【方法】家兎の腹部大動脈に、ポリエチレンチューブ(PE60)を2週間留置した後に抜去し、4週間普通食で飼育した群(第1群:n=8)とコレステロール食で飼育した群(第2群:n=8)にプラークを作成し、in vivoにてIVUS(4.5Fr・30MHzアロカ社製)を用いて観察した。動物を屠殺後に大動脈を圧還流固定し、プラーク部より組織標本を作製した。H-EとEVG染色および免疫染色(平滑筋、マクロファージ)を行い、IVUS画像と組織像との対比を行った。 【結果】家兎腹部大動脈には、両群ともに偏心性のプラークが形成され、IVUSでその分布や内部の観察ができた。第1群ではプラークの多くはIVUS画像上で高輝度を示したが、低輝度を示す領域も認められた。組織学的には、高輝度を示したプラークはコラーゲン豊富な線維性プラークであった。また一部にプロテオグリカンに富んだ線維性プラークを認め、これはIVUS画像上の低輝度領域に一致した。第2群のプラークはすべて低輝度を示し、組織学的には脂質を含むマクロファージの集簇からなる脂肪性プラークで、薄い線維性被膜を有していた。 【考察】IVUSは、家兎に作成した動脈硬化性プラークの分布ならびに組織性状の評価に有用であることが示された。脂質成分に富むプラークとプロテオグリカンに富むプラークはいずれもIVUS画像上で低輝度を示し、その判別はできなかったが、両者とも破綻しやすいプラークであることから、IVUSによる心血管イベント予知への可能性が示唆された。
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