定位放射線治療のためのモンテカルロ法による3次元線量分布計算システムに関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670905
• 研究機関: 東京都立保健科学大学
• 研究代表者: 齋藤 秀敏 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助教授 (50196002)
• 研究分担者: 加藤 二久 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助教授 (70095107) ; 福田 賢一 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70189942) ; 入船 寅二 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (40085642) ; 大谷 浩樹 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助手 (10259145) ; 福士 政広 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助教授 (70199199)
• キーワード: 定位放射線治療 / 肺がん / 吸収線量 / モンテカルロ法

研究概要

1 肺がんの定位放射線照射をモデルとした吸収線量計算精度の検討
本年度は、定位放射線治療のモンテカルロ法による3次元線量分布計算システムを臨床上必要な計算速度が得られるような計算精度と計算アルゴリズムの最適化を行い、ソフトウェア作成を進めることを目標の一つとした。この研究では、近年体幹部での定位放射線治療の対象として多くの照射が行われている肺癌を具体的な対象に設定し、計算と実測値の比較検討のため単純な肺モデルファントムを作成した。この肺モデルによる線量計算結果とその実測データとの比較により研究を進めた。モンテカルロ法を計算アルゴリズムとした場合、胸壁を通過した後に見られる吸収線量のビルドダウン、肺組織内の癌の位置でのビルドアップと再度のビルドダウンなどの現象を計算で明らかにすることができた。さらに肺内での吸収線量分布の特性を明らかにし、肺がんの定位放射線治療の精度を向上させるため、照射エネルギーなどを検討し、研究成果として報告した。
2 3次元線量分布計算システムの制作
モンテカルロ計算による3次元線量分布計算システムについては、測定実験比較用の試験的なソフトウェア開発段階を終了し、3次元CT画像情報の利用、定位放射線治療に対応できる任意方向、任意回転角度、計算速度の高速化など、臨床研究に応用できるようソフトウェアの開発、再検討を行っている。

研究成果

• [文献書誌] T.Fujisaki,H.Saitoh et.al.: "Dose distribution measurement for stereotactic radio therapy of lung tumor using film method"Gated radiotherapy. 2000. 35- (2000)
• [文献書誌] R.Sakai,H.Saitoh et al.: "A study on dose distribution of stereotactic irradiation for a lung cancer"Gated radiotherapy. 2000. 36- (2000)
• [文献書誌] T.Fujisaki,H.Saitoh et al.: "Investigation of dose distribution for narrow beam using thorax phantom"Jpn.J.Med.Phys.. 20,Suppl4. 88-91 (2000)
• [文献書誌] R.Sakai,H.Saitoh et al.: "Dose distribution of stereotactic Irradiation for thorax"KEK Proceedings. 2000-20. 100-106 (2000)
• [文献書誌] T.Fujisak,H.Saitoh et al: "Variation of Dose Distribution by Detectors for Narrow Beam"KEK Proceedings. 2000-20. 264-271 (2000)
• [文献書誌] H.Saitoh.R.Sakai et.al.: "A Study on dose distribution of stereotactic irradiation for lung cancer"Journal of the European Society for Therapeutic Radiology and Oncology. 58,Suppl1. 103- (2001)
• [文献書誌] 日本医学物理学会編国枝悦夫,齋藤秀敏,都丸禎三,平田武: "定位放射線照射のための線量標準測定法"(株)通商産業研究社. 68 (2001)