放射線治療用密封小線源近傍の正確な線量分布測定のため開発された、TL-シート固有の空間分解能を明らかにし、米国で使用されている密封低エネルギーγ線源を用いYale大学と共同でTL-シートによる線源近傍の2次元線量分布測定実験を行い、その実績を報告する。 1、TL-シート固有の空間分解能は8.1 line pairs/mm(62μm)以上となり、TL-シートのMTFから5%レベルの空間分解能は13 line pairs/mmとなった。 2、密封小線源I-125(Model 6711およびModel 6702)およびPd-103(Model 200)近傍の2次元線量分布測定実験を行い、従来の標準測定器LiF-TLDの測定可能範囲(線源から5mm以上離れた領域)で比較した。 (1)TL-シートによるI-125、Pd-103のradial dose functionおよびanisotropy constantはLiF-TLDと比べて良く一致した。 (2)anisotropy functionはI-125、Pd-103とも線源軸に対し線対称性を示し、線源両端は線源の構造を反映するパターンを示した。 3、結論として、TL-シートは広いワーキング・レンジを持ち、少なくとも0.002-5000cGyの範囲で直線性を持つことが知られており、空間的に線量が大きく変化する線源近傍の2次元線量分布の正確な測定素子として、TL-シートの有用性が示唆された。
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