Pretargeting法による悪性腫瘍の放射免疫治療に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670911
• 研究機関: 埼玉医科大学
• 研究代表者: 細野 眞 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00281303)
• 研究分担者: 高橋 健夫 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70241883)
• キーワード: 放射免疫治療 / モノクローナル抗体 / 肝転移

研究概要

放射免疫治療においてはその対象は原発巣というよりは微小な転移病変、播種病変であるということがほぼコンセンサスとなっている。これは原発巣に対しては手術や外部放射線治療が第1選択であり、これらで治療できない多発性の転移、播種に対して放射免疫治療がその効果を発揮すると考えられるからである。このような転移病変への放射能標識抗体の集積を評価するには動物にて転移モデルを作ることが求められる。そこで本年度は放射免疫治療の基礎的検討として大腸癌の肝転移モデルを動物実験において確立した。方法はマウスを開腹し、大腸癌細胞株を脾臓内投与または門脈内投与することによって肝転移を作ることを試みた。転移巣が生着するにあたって、投与法、投与細胞数などの至適条件を求めた。さらにこの細胞をIn-111-oxineにて標識し、脾臓内または門脈内投与したのちマウスの体内にどのように分布するかを調べることにより、転移モデルとしての正当性を検討した。結果はマウス1匹あたり2x10^4個程度の投与量が肝転移の作成には適当であることがわかった。また細胞がIn-111-oxineにて傷害されずしかも安定に標識される条件を求めた。そののち、この標識細胞をマウスに投与して経時的に解剖し体内分布を調べると、脾臓内投与より門脈内投与の方がより肝臓に多く細胞が留まることがわかった。このような癌細胞の投与後の体内動態を調べることは癌の進展様式を明らかにするうえできわめて重要であると考えられた。
今回の検討では、大腸癌の肝転移モデルが確立されたので、今後このモデルにおいて実際に放射能標識抗体を投与する。従来マウスにおいて主として皮下移植腫瘍において放射能標識抗体の体内分布や抗腫瘍効果を調べていたものが、今回の肝転移モデルを用いると、より実際の目標である転移病変について知見が得られると期待される。

研究成果

• [文献書誌] Hosono MN,Hosono M et al.: "Rhenium-188-labeled anti-neural cell adhesion molecule antibodies with 2-iminothiolane modification for targeting small-cell lung cancer"Ann Nucl Med. 14. 173-179 (2000)
• [文献書誌] Hosono M,Hosono MN et al.: "Two-step targeting and dosimetry for small-cell lung cancer xenograft with anti-NCAM/anti-histamine bispecific antibody and radioiodinated bivalent hapten"J Nucl Med. 40. 1216-1221 (1999)
• [文献書誌] Hosono M,Hosono MN et al.: "Biodistribution and dosimetric study in medullary thyroid cancer xenograft using bispecific antibody and iodine-125-labeled bivalent hapten"J Nucl Med. 39. 1608-1613 (1998)
• [文献書誌] Hosono MN,Hosono M et al.: "Localization of colorectal carcinoma by rhenium-188-labeled B72.3 antibody in xenografted mice"Ann Nucl Med. 12. 83-88 (1998)
• [文献書誌] Hosono M,Hosono MN et al.: "Localization of small-cell lung cancer xenografts with I-125-, In-111-, and Re-188-somatostatin analogs"Jpn J Cancer Res. 87. 995-1000 (1996)
• [文献書誌] Sakahara H,Hosono M et al.: "Effect of circulating antigen on immunoscintigraphy of ovarian cancer patients using anti-CA125 monoclonal antibody"Jpn J Cancer Res. 87. 655-661 (1996)