1999 年度実績報告書

癌の治療方法を選択し、治療効果を分子生物学的に予測する核医学手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号	11670912
研究機関	慶應義塾大学
研究代表者	中村佳代子慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20124480)
キーワード	悪性腫瘍 / 多剤耐性 / T'c-99m-MIBI / アンチセンス / 治療効果
研究概要	本研究は分子生物学的観点から腫瘍の治療方法を選択し、更に、腫瘍の治療経過を予測するに際して、核医学的手段を有効に活用することを目的としている。研究は悪性腫瘍細胞として、ヒト類上皮癌細胞、KB-31を親株として用いた。これに、多剤耐性遺伝子として、mdr1をトランスフェクトした細胞を作成した。さらに、抗癌剤の存在下にて培養した結果、多剤耐性を獲得しMRPを過剰に発現する腫瘍細胞を得た。また、抗癌剤治療により多剤耐性を獲得した癌患者から腫瘍細胞を単離して、14種類の細胞を樹立した。核医学手段としては、多剤耐性の機能のみを提示する放射性化合物、Tc-99m-MIBIと、mdr1、mrpそれぞれの産物を抗原として作成した抗体をI-125にて標識したRI標識抗体とを用いた。これらの腫瘍細胞を用いてin vitroの実験を中心に行い、以下の基礎的情報を得た。 (1)多剤耐性を種々の手段にて獲得した細胞について、各遺伝子の発現の程度と遺伝子産物の量とを、RT-PCR、イムノアッセイ、更に、病理染色を用いて観測した結果、これとTc-99m-MlBIの取り込みの間に負の相関が、および、RI標識抗体の取り込みとの間に正の相関が認められた。 (2)多剤耐性を種々の手段にて獲得した細胞について、各種の抗癌剤、多剤耐性を克服する薬剤、多剤耐性遺伝子産物をブロックする抗体、多剤耐性遺伝子に対するアンチセンスの影響をTc-99m-MlBIやRI標識抗体の取り込みを用いて検討した。Tc-99m-MlBIは多剤耐性の機能を、RI標識抗体は多剤耐性に関わるたんぱく質の存在を反映していることが明らかになった。 (3)(1)と(2)の結果から、Tc-99m-MIBIやRI標識抗体の取り込みより細胞の治療手段を選択できると判断した。以上の情報を総合して、Tc-99m-MIBIやRI標識抗体の取り込みと細胞核の遺伝子情報と細胞形質情報とが最も合致する腫瘍細胞を選択して、次年度のマウスを用いた動物実験へと移行させる予定である。

研究成果
(10件)

すべてその他

すべて文献書誌 (10件)

[文献書誌] 藤井博史: "^<99m>T'c-MIBIによる副甲状腺シンチグラフィの撮像法に関する検討"核医学. 36(5). 425-433 (1999)
[文献書誌] 中村佳代子: "遺伝子と臨床核医学(1)"臨床核医学. 32(6). 90-92 (1999)
[文献書誌] 中村佳代子: "これからの腫瘍核医学"RADIOISOTOPES. 49(1). 26-31 (2000)
[文献書誌] 中村佳代子: "遺伝子と臨床核医学(2)"臨床核医学. 33(1). 8-10 (2000)
[文献書誌] 藤井博史: "乳腺腫瘍:^<99m>T'c-MIBIによる診断"INNERVISION. 15(3). 86-89 (2000)
[文献書誌] Kayoko Nakamura: "Evaluation of MDR-reversing agents by using Tc-99m-MIBI"Journal of Nuclear Medicine. 40(5). 230P-231P (1999)
[文献書誌] Hiroshi Takami: "Pre-operative localization and tissue uptake study in parathyroid imaging with Technetium 99m SESTAMIBI"Aust. N.Z. Surg.. 69. 629-631 (1999)
[文献書誌] Sakurai Hideki: "Effect of a 7-tesla homogeneous magnetic field on mammalian cells"Bioelectrochemistry and Bioenergetics. 49. 57-63 (1999)
[文献書誌] Kayoko Nakamura: "Synergistic effect of monoclonal antibody conjugated with liposome entrapped by doxyorubicin and Tc-99m"Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals. 15(1). 107 (2000)
[文献書誌] 中村佳代子: "最新臨床核医学(第3版)"金原出版株式会社. 712 (1999)

1999 年度 実績報告書

癌の治療方法を選択し、治療効果を分子生物学的に予測する核医学手法の開発

研究代表者

中村 佳代子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20124480)

研究成果

[文献書誌] 藤井博史: "^<99m>T'c-MIBIによる副甲状腺シンチグラフィの撮像法に関する検討"核医学. 36(5). 425-433 (1999)

[文献書誌] 中村佳代子: "遺伝子と臨床核医学(1)"臨床核医学. 32(6). 90-92 (1999)

[文献書誌] 中村佳代子: "これからの腫瘍核医学"RADIOISOTOPES. 49(1). 26-31 (2000)

[文献書誌] 中村佳代子: "遺伝子と臨床核医学(2)"臨床核医学. 33(1). 8-10 (2000)

[文献書誌] 藤井博史: "乳腺腫瘍:^<99m>T'c-MIBIによる診断"INNERVISION. 15(3). 86-89 (2000)

[文献書誌] Kayoko Nakamura: "Evaluation of MDR-reversing agents by using Tc-99m-MIBI"Journal of Nuclear Medicine. 40(5). 230P-231P (1999)

[文献書誌] Hiroshi Takami: "Pre-operative localization and tissue uptake study in parathyroid imaging with Technetium 99m SESTAMIBI"Aust. N.Z. Surg.. 69. 629-631 (1999)

[文献書誌] Sakurai Hideki: "Effect of a 7-tesla homogeneous magnetic field on mammalian cells"Bioelectrochemistry and Bioenergetics. 49. 57-63 (1999)

[文献書誌] Kayoko Nakamura: "Synergistic effect of monoclonal antibody conjugated with liposome entrapped by doxyorubicin and Tc-99m"Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals. 15(1). 107 (2000)

[文献書誌] 中村佳代子: "最新臨床核医学(第3版)"金原出版株式会社. 712 (1999)

1999 年度実績報告書

中村佳代子慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20124480)