研究課題/領域番号 |
11670914
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
梅田 泉 帝京大学, 薬学部, 助手 (40160791)
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研究分担者 |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
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キーワード | リポソーム / モノクローナル抗体 / 内用放射線療法 / 放射免疫治療 / 放射免疫診断 / フラグメント / がん治療 / 放射性標識 |
研究概要 |
放射標識モノクローナル抗体による放射免疫治療(および診断)には大きな期待が寄せられているが、正常組織への非特異的集積や治療に必要な放射能濃度が得られないなど、幾つかの難問を抱えている。本研究課題は薬物担体であるリポソームを放射免疫治療に導入することによりこれらの問題の解決を試みるものである。本年度はリポソーム表面に抗体を結合するなどの検討を行い、以下の知見を得た。 MM46腫瘍認識モノクローナル抗体IgG MM(Ly)2a1、そのフラグメントF(ab')2あるいはFab'をリポソーム表面に結合させ、リポソーム内部に^<111>In-NTAを封入した。in vitroでは3種のリポソームはいずれもMM46腫瘍細胞を特異的に認識し、これに結合した。MM46担癌マウスに静注した結果、Fab'結合リポソームでは腫瘍集積率は投与後6時間で約30%投与量/gに達し、腫瘍/血液比は24時間後で14の値を得た。これらの値はFab'あるいはIgG(いずれも^<125>I標識)の単独投与で得られる値よりはるかに大きいものであった。我々が用いているリポソームは単独でも高い腫瘍集積能をもつが、抗体を結合したものは明らかに腫瘍を特異的に認識しており、結果として大幅な腫瘍集積率の増加が認められた。Fab'単独投与時に問題となる腎臓への高集積は認められず、標的/非標的組織比も抗体やフラグメント単独投与より優れていると考えられた。さらにリポソームに封入する核種-錯体を選ぶことにより標的/非標的組織比をさらに改善できることが明らかになった。 リポソームは原理的にどんな核種でも標識可能であり、また抗体単独と比べてはるかに多量の放射性核種を標的組織に運搬できるという利点をもつ。来年度は、今年度の検討結果を土台に、核医学治療核種である^<186>Re等のリポソーム封入の検討などを中心にさらに検討を進める予定である。
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