研究課題/領域番号 |
11670914
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
梅田 泉 帝京大学, 薬学部, 助手 (40160791)
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研究分担者 |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
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キーワード | リポソーム / 内用放射線療法 / 放射免疫治療法 / レニウム / 標識 / N,N'-ethylene-di-cysteine / active loading / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
本研究はがん内用放射線治療実用化を最終目的として、モノクローナル抗体の高い標的指向性と薬物担体であるリポソームの特性を利用し、標的組織のみへの特異的かつ大量の放射性核種送達を図るものである。本年度は主に内用放射線治療に適した核種である放射性レニウム(^<186>Re/^<188>Re)を用いて以下の検討を行った。 1.リポソームへの放射性レニウム(^<186>Re/^<188>Re)錯体の封入と生体内分布 非標的組織への放射活性の分布を低減すべく、N,N'-ethylene-di-cysteine(CD)を配位子とするレニウム錯体を設計・調製した。グルコヘプタン酸を介した配位子交換反応により良好な収率でRe-CD錯体を得た。これをリポソームに封入した結果、従来の放射性核種封入リポソームで観察される肝臓や脾臓への長時間に亘る放射活性の滞留が大幅に解消し、血中消失も速まった。非標的組織への放射活性の集積は内用放射線療法実用化の最大の障壁となっており、本研究の成果はこの障壁を取り除く大きな一歩につながるものと考える。CDを内包配位子としたReのリポソームへのactive loadingに関して現在検討を進めている。 2.リポソーム標識時間の短縮 放射性核種封入リポソームを核医学診断・治療に用いるためには高い封入率(標識率)と短時間での標識法が必要である。ここでは標識時間の短縮を試みた。active loadingの反応温度を60℃に上げることにより、10分で標識率90%に達した(原法では75分)。またリポソーム内・外液に比重差を形成させた上で超遠心でリポソームを沈殿として回収する手法を開発し、時間短縮と同時にリポソーム液の濃縮も可能にした。この2点の改良で実用に耐える標識方法が確立できたと考える。 今後は昨年度の研究成果を組み合わせてさらに発展させることにより、実用化を念頭に置いた研究を推進したいと考えている。
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