脳内アセチルコリン量の評価法の開発を目的として、放射性薬剤の評価系の開発を試みた。本評価系は、生きている脳切片を用いて培養液中で放射性薬剤の挙動をイメージングプレートを交換することでダイナミックに追跡できる(dPAT法)。アセチルコリンはコリンアセチルトランスフェラーゼに合成されるので、[^<11>C]コリンを合成することを試みた。dPAT法を用いて、[^<11>C]コリンからアセチルコリンへ変換される過程を画像化した。コントロール状態では[^<11>C]コリンはアセチルコリンと脂質画分に取込まれたが、high K^+処理して内在性のアセチルコリンを枯渇させたところ、アセチルコリン画分へ取込まれる割り合いが約2倍に増加した。この変化は線状体で顕著であった。アセチルコリンのレセプターリガンドを用いた研究に入る前に、脳のドーパミン量を評価できる可能性が示唆されている[^<11>C]ラクロプライドについてdPAT法を用いた検証実験を試みた。コントロール状態では、[^<11>C]ラクロプライドは大脳皮質に比べ線状体に高い集積を示した。この集積は、high K^+処理して内在性のドーパミンを放出させたところ有意に低下した。以上の結果は、[^<11>C]ラクロプライドを用いることで脳のドーパミン量をPETで評価できることを示すと同時に、アセチルコリンのレセプターリガンドを用いることで脳のアセチルコリン量を評価できる可能性をも示唆している。
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