まず、レビー小体型痴呆(DLB)19例とアルツハイマー型痴呆(AD)50例、正常対照30例について、HEADTOMEまたはCERASPECT3000により、Xe-133吸入法による定量的局所脳血流量および、Tc-99m-ECDまたはI-123-IMPによる定性的脳血流を測定した。定量値でみると平均脳血流量はDLB群で有意に低下しており、これは大脳萎縮の程度とは相関しないことから、網様体賦活系など脳幹機能の障害との関連を推測した。部位的には、AD群では頭頂葉の低下がみられるのに対して、DLB群では頭頂葉に加えて、後頭葉での有意な局所脳血流量低下を認めた点が特徴的であった。後頭葉での血流低下は幻視の有無とは必ずしも関係なかった。定性的には、DLBでは、Tc-99m-ECDではI-123-IMPと比べてよりの後頭葉の血流低下が検出しにく、定性画像としてI-123-IMPを用いることが適当と考えられた。また、DLB1例については剖検により診断を確定し、診断基準の妥当性を確認できた。ついで、アポリポ蛋白E多型について検討し、E4を有する例が、対照群13%、AD群46%、DLB群36%であり、AD群では有意に、DLBでは有意ではないが高い傾向がみられた。以上より、DLBの病態として、画像所見およびアポリポ蛋白E多型からみた遺伝的危険因子についても、ADと共通する病態を有する疾患であることが推察された。
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