研究概要 |
チロシン水酸化酵素遺伝子の第一イントロンにある4塩基配列の繰り返し配列の多型について、分裂病との関連研究をおこなった。男性の分裂病患者(168名)と男性正常コントロール群(182名)との間には、繰り返し配列のgenotypeやalleleの頻度に関して、有意な差はみとめられなかったが、女性分裂病患者(123名)は女性正常コントロール群(157名)と比較して、genotypeの分布に有意な違いがあり、TH9TH6のgenotypeが有意に、その頻度が少なかった。 X染色体上にあるL1CAM遺伝子の多型を検索したところ、イントロン11にある8575 A>C,エキソン18にある10564 G>Aとイントロン25にある13504 C>Tの3種類の変異があることがわかった。このなかで、13504 C>Tの変異は、男性の正常コントロール群(121名)では全くみとめられなかったが、分裂病患者(152名)では7名の患者で認められ、有意にその頻度が高かった。しかしながら、女性では、いずれの変異についても、コントロール群(114名)と分裂病群(155名)との間に、その頻度に関して有意な差は認められなかった。 末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子のエキソン4に存在する2種類のミスセンス変異について、感情障害との関連研究をおこなった。すなわち、正常コントロール群359名、抑うつ性障害患者99名と双極性障害患者94名について、Ala147ThrとHis162Argの変異について、そのallele,genotypeおよびhaplotypeについて、それぞれ、関連を調べたが、いずれのallele,genotypeとhaplotypeに関しても、抑うつ性障害と双極性障害との有意な関連は認められなかった。
|