現在、約2/3程度の染色を終え、定量的な測定はまだ行っていないが、定性的(視認的)にはアミロイドアンギオパチーの周囲の神経細胞にアポトーシスが多く、また白質変性のみられる部位ではCD68-KP1陽性顆粒を胞体内にもつGFAP陽性星状膠細胞の出現と症例によってはTUNEL法で希突起膠細胞のアポトーシスがみられる。神経原線維変化とアポトーシスとの関連ではモノクローナルタウ抗体(AT8)の免疫活性とアポトーシスとは強い関連がみられ、CD68-KP1やアミロイドP抗体で染色される細胞外神経原線維変化とは量的に相関が見とめられる。老人斑では線維化したアミロイドの周辺に明らかなアポトーシスを示す細胞がみられ、芯のないびまん性老人斑周囲にはこれらの細胞はほとんど認められない。定量的に検索したあと、論文にまとめる予定である。C4dやアミロイドP蛋白の免疫活性はアポトーシスの後に生じているようにみえ、計量的な検討を早く行いたい。抗ユビキチン抗体で染色される老人斑とアポトーシス細胞の量的な相関は現認的にはないようにみえる。Gallyas法とAT8の二重染色標本にTUNEL法で三重染色を施すと、AT8陽性の神経細胞内に嗜銀性神経原線維変化が出現してくると、細胞核がTUNEL陽性となっているようである。これは興味深い所見で症例を増やし、検討する。まとめると、TUNEL法による細胞のアポトーシスにはアミロイドベーター蛋白の影響が大きく、白質変性部位にはCD68-KP1陽性顆粒がGFAP陽性星状膠細胞内に認められ、同時に希突起膠細胞のアポトーシスを起こしている。白質変性の重要な所見と考えている。
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