研究課題/領域番号 |
11670941
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
増井 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80190346)
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研究分担者 |
加藤 進昌 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 客員教授 (10106213)
石田 展弥 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20159742)
金井 裕彦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30293830)
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キーワード | てんかん / モデル動物 / ノダ・てんかん・ラット / 海馬 / ニューロペプチドY / 受容体 / mRNA / in situ hybridization |
研究概要 |
ニューロペプチドY(NPY)は、海馬内介在細胞においてGABAと共存し、グルタミン酸神経伝達系に対してNPY Y2受容体を介して抑制的に働くことから、内因性抗けいれん物質として注目されている。Wistar:Crj系より発生したノダてんかんラット(NER)は、生後6週頃より部分発作、12週頃より二次性全般化が約24時間周期に認められる新しいモデルである。平成11年度においてはNERを用いて、発作後NPYおよびY2受容体mRNAの変化を検討した。 NERは畜産動物安全科学研究所より譲渡され、当施設において飼育・繁殖し、自発性けいれん発作が出現することを確認したものを用いた。対照としては、Wistar:Crj系ラットを用いた。7週齢、14週齢NERを発作後0、4、12時間で断頭し(各群N=4)、背側海馬を含む20μmの脳冠状断切片を作成した。NPYmRNA、NPY Y2受容体mRNAの発現の同定は、それぞれに相補的なアンチセンスDNAプローブを用い、in situハイブリダイゼーション法にて行なった。 14週齢NER海馬におけるNPYmRNAは、発作4時間後に歯状回顆粒細胞に発現し、12時間後には海馬CA1からCA3領域の錐体細胞層へと拡大していた。一方、7週齢ではNPYmRNAの発現と発作との間には関連が認められなかった。Y2受容体mRNAは、発作後12時間後に歯状回顆粒細胞層においてのみ発現の増強を認めた。発作後24時間後では、いずれも対照群と同じレベルに戻っていた。このことは、発作出現に伴い抑制性であるNPY神経系が動員された結果、相補的に合成が亢進すると推測される。しかし、NERではその変化が一過性である点で従来のモデル(カイニン酸投与モデルなど)とは異なっており、けいれん発作が自然発症することと何らかの関連があるのではないかと考える。
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