研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294068)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10273632)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
吉田 成孝 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス科, 助教授 (20230740)
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研究概要 |
海馬長期増強現象においてリン酸化により種々の細胞骨格に変化がみられると考えられ、神経細胞の主要細胞骨格であるニューロフィラメントもリン酸化を受けることが考えられる。まず、Rho kinaseによるNF-Lのリン酸化部位であるSer-26を中央部含む10残基程度のNC端側にCys残基加えたリン酸化ペプチドより、Ser-26の部位のリン酸化を特異的に認識する抗体を作成し、精製した抗体の特異性の確認を行った。400ミクロンのマウス海馬切片をロータリースライサーに作製し、fEPSPをモニターするために外部電極を挿入し、灌流液下にて高頻度刺激を行い長期増強現象を生じた切片の作成を行った。この際に、コントロールとして、test pulseのみの切片、AP-5(NMDA受容体遮断剤)及びKN-62(CaMKII阻害剤)を加えた灌流液下にて高頻度刺激を行った切片も合わせて作成を行った。これらの切片よ凍結切片を作製し、精製したリン酸化部位(Ser-26,-51,-55.-57)特異的な抗NF-L抗体を用いて、免疫組織化学的に検討し、長期増強現象に関与するリン酸化部位を検索したところ、Ser-57の部位のリン酸化を特異的に認識する抗体でのみ、繊維状の構造物が染色された。また、AP-5及びKN-62を用いた切片では、これらの染色性が失われることから、長期増強現象においてCaMKIIによるNF-Lのリン酸化が生じていることが示された。次にビオチン化NF-L抗体を作成し、これとECL法を用いることにより、リン酸化を特異的に認識する抗体により免疫沈降したNF-Lを高感度に検出する系を確立した。次に長期増強現象を生じたマウス海馬切片をホモジェネイトし、リン酸化部位(Ser-26,-51,-55,-57)特異的な抗NF-L抗体を用いて、免疫沈降を行い、さきに確立した系を用いてリン酸化NF-Lを検出したところ、長期増強現象においてCaMKIIによるNF-Lのリン酸化が生じていることが確認された。
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