研究課題/領域番号 |
11670943
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10273632)
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研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294068)
中村 祐 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70291440)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
今泉 和則 大阪大学, 医学系研究科, 講師
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン / 小胞体 / アミロイド前駆体蛋白 |
研究概要 |
プレセニリン1(PS1)は第6-7膜貫通部位間のループ構造で切断を受け、N末端とC末端の断片で存在するものが生理的に大部分である。従って、この切断とPS1の機能については興味深い問題である。家族性アルツハイマー病(FAD)の家系の中には、PS1に変異を持つ家系が多く、この切断部分を欠失したΔE9などがある。PS1が主に小胞体に存在することから、我々は小胞体に負荷されたストレスとPS1の機能に注目している。小胞体にはストレスに対しその恒常性を維持するためのシステムであるUPR(unfolded protein response)が存在する。昨年度はそのUPRを担う分子であるIre1の機能が、PS1の変異体によって阻害されることを示した。本年度は、UPRと変異型PS1或いはPS1の生理的機能の関係をさらに検討した。PS1及びPS2のノックアウト線維芽細胞に小胞体ストレスを負荷してやると、UPRとしてのIre1のリン酸化やGRP78の誘導は野生型の細胞と差がなかった。近年、PS1はアミロイド前駆体蛋白(APP)のγ切断酵素そのものと言われているが、このγ切断活性を変異を入れることによりつぶしたPS1コンストラクトを作成し、cell lineを構築した。この細胞にも小胞体ストレスを負荷してやり、Ire1とGRP78について同様に検討したところ、γ切断酵素変異型細胞のUPRは野生型と差がなかった。以上の結果は、FADに見られるPS1変異のUPRへの影響は、gain of functionとして生じていることを示している。このPS1変異に伴うUPR阻害が、FADの神経細胞死を招来するものと考えられる。
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