研究課題/領域番号 |
11670943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10273632)
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研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294068)
中村 祐 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70291440)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
今泉 和則 大阪大学, 医学系研究科, 講師
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン / 小胞体 / GRP78 |
研究概要 |
第14番染色体にあるプレセニリン1(PS1)の変異は、早発型家族性アルツハイマー病(FAD)の家系で発見された。このFADに関連するPS1の変異体は、アミロイド前駆体蛋白(APP)のプロセッシングに変化を与え、様々なストレスに対するアポトーシス脆弱性を増すと報告されている。しかし、この変異体がアポトーシスをもたらすメカニズムについては不明である。PS1が局在する小胞体にはストレス(ERストレス)によって蓄積したunfolded proteinに対し、細胞の恒常性を守るべく働くunfolded protein response(UPR)と言う機構が存在する。今回我々は、UPRの1つの経路であるIre1を介する系にPS1の変異体がどのように関与するかを検討した。PS1の変異体は、UPRの下流として発現し蛋白のfoldingを是正するシャペロン蛋白であるGRP78/BipのERストレスに対する誘導を抑制することが示された。このGRP78/Bipの低下は実際のアルツハイマー病脳でも観察された。さらに、GRP78/Bipの上流にあるIre1はERストレスによってリン酸化を受けることによってシグナルを下流に伝えるが、このリン酸化がPS1の変異体存在下では障害を受けることが示された。これらの事実は、変異型PS1の細胞においてもGRP78/Bipを予め発現させておくと、ストレス脆弱性は野生型の細胞に匹敵する程度に回復することで確認された。これらの結果より、変異型PS1はUPRを阻害することにより、細胞にERストレスに対する脆弱性をもたらすことが示された。
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