研究課題/領域番号 |
11670946
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加賀谷 有行 広島大学, 医学部, 講師 (60274065)
|
研究分担者 |
河内 千恵 広島大学, アイソトープ総合センター, 助手 (00274142)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | セロトニン / デキサメタゾン / 細胞内カルシウム / 神経細胞死 / 脳由来神経栄養因子 / 培養細胞 / 気分安定薬 / セロトニン-2A受容体 |
研究概要 |
(1)ラットにおける神経細胞障害の脳局所変化の検討 ラットに薬理学的ストレス負荷剤であるデキサメタゾンを2週間反復投与し、スライサーを用いてラット脳切片を作成した。この切片に高濃度カリウムを負荷しながら、細胞内カルシウム測定装置アルガス-50で細胞内カルシウムを測定したところ、デキサメタゾン反復投与ラットの皮質や海馬では細胞内カルシウム濃度の上昇が対照群に比較して亢進していた。気分安定薬であるリチウムがこの亢進を抑制する可能性が示唆された。同処置後にクリオスタットを用いて脳凍結切片を作成し、TUNEL染色法により神経細胞死を測定したが、デキサメタゾン処置による細胞死の亢進は見られなかった。 (2)ラット脳におけるセロトニン-2A受容体を介した神経栄養因子の発現の変化の検討。 ラットにデキサメタゾンを2週間反復処置したのち、セロトニン-2A受容体機能の指標となるDOI刺激性首振りを測定したところ、亢進していた。この亢進は気分安定薬であるニモジピン反復投与により阻害された。次に大脳皮質の脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)の含有量を測定したところ、デキサメタゾン反復処置によりBDNFが減少していた。この減少はニモジピンにより改善する可能性が示唆された (3)培養細胞におけるセロトニン-2A受容体が細胞障害におよぼす影響の検討 培養細胞C6を用いて、セロトニン-2A受容体刺激後の細胞障害についてWST-8による細胞染色法により検討した。牛胎児血清(fetal calf serum:FCS)除去による細胞障害をセロトニン-2A受容体刺激が改善する可能性が示唆された。C6細胞をセロトニンで前処置し、セロトニン-2A受容体を脱感作させた状態で同受容体のmRNAをPCR法により測定したが、変化はなかった。さらにセロトニンと蛋白合成阻害剤シクロヘキサミドを同時に前処置すると脱感作が亢進したことから、脱感作の過程でそれを抑制する蛋白が発現することが示唆された。
|