遺伝子導入技術を用いてアミロイド形成阻害蛋白(iAβ5:LPFFD)遺伝子を発現させてAβ凝集・沈着過程に与える影響を明らかにすることを目的に以下の予備的実験を行った。 1.アミロイド阻害蛋白iAβ5遺伝子並びに発現ベクターの作成:iAβ5を発現するDNAを合成し、発現ベクター(pTarget-T)に組み込みを行った。そのベクターをシークエンスして配列を確認した。 2.APP遺伝子、iAβ5遺伝子の培養細胞株への導入:iAβ5の発現ベクター(pTarget-T)をリポフェクトアミンを用いたリポソーム法にて各種培養ヒト筋細胞に導入を試みて遺伝子導入の諸条件を検討した。培養ヒト筋細胞(CCL-136)に対しては細胞毒性を示した為、導入に関する各種の条件に再度検討を加えた。また培養ヒト筋細胞(CRL-7767)にも遺伝子を導入した。遺伝子導入細胞をネオマイシン添加培地による選択培養に成功した。同様の方法で、野生型APP、変異型(Sweden型、British型)遺伝子の導入を試みた。野生型APPでは成功したが、変異型APP遺伝子では細胞毒性が強いため現在遺伝子の導入における条件を検討中である。 3.iAβ5に対するポリークローナル抗体の作製:合成ペプチドにkeyhole limpetを結合させた後、2羽のウサギに免疫してポリクローナル抗体を作製した。ELISA法にて十分とはいえないが抗体価の上昇が認められた。 4.病理学的検討:野生型APP遺伝子が過剰発現される細胞にクロロキンを非添加、添加して培養後、病理学的な変化を観察している。 現在安定した遺伝子導入細胞を大量に調整し、i)APPの各ドメインの抗体、抗Aβ抗体、抗iAβ5抗体を用いた免疫染色による各蛋白の局在、ii)細胞のライセートを調整し、上記抗体とのWestern blottingにより発現している蛋白の固定を試みている。
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