研究概要 |
神経性過食症患者における免疫機能と精神症状との関連を検討した。対象は12例の神経性過食症(BN群)と16名の健康対照者(C群)で、全例とも女性。全例に同意を得た上で、Eating Disorder Inventory、Beck's Depression Scale(BDI)、STAI、CISS、ハミルトンのうつ病および不安尺度、PHA刺激によるLymphoproliferative response(LR)、リンパ球サブセットなどを施行した。また、可能な症例では約1ヶ月後に再検査した。BN群は23.7±3.8歳(平均±標準偏差)、C群は22.2±1.6歳、Body Mass IndexはBN群が19.8±2.5、C群が20.1±1.4といずれもt検定で有意差を認めなかった。またBN群は週に平均6.9±2.4回の過食、6.7±5.3回の嘔吐、日に10.3±17.9錠の下剤を使用(または乱用)していた。CD4%はBN群が46.3±7.0、C群が38.8±4.6(t=3.4、p=.002)、CD4/CD8比ではBN群が1.7±0.6、C群が1.2±0.3(t=2.4、p=.03)とBN群が有意な高値を示した。またLRはBN群が58240±25118、C群が41937±8461(t=2.2、p=.05)、cotrolとの比であるStimulation Index(SI)ではBN群が199±158、C群が148±56(t=1.1、P=.30)と有意には至らなかった。また患者群においてCD4/CD8比、SIと過食、嘔吐回数、精神症状と相関を検討するとSIとBDIの間(-0.73,p=.02 Spearman)、CISSのEmotionとの間(0.79,p=.02)などに有意な相関が認められた。しかし再テストが可能であったのは、3症例のみであった。今後、症例数を増やし、さらなに検討したいと考えている。
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