研究概要 |
抗うつ薬連続投与後にラット脳内で発現量が特異的に変化するmRNAをRNAfingerprinting法を用いてこれまでに200クローン(antidepressant related gene,ADRG1-200)を同定、その塩基配列を決定し、遺伝子バンクに登録されている遺伝子配列と照会し検索を行った。その結果、 (1)ADRG3は、その塩基配列よりストレス蛋白質ファミリーの1つとして報告されているheat shock cognate protein70の新規スプライシングバリアントであることが明らかとなり、RT-PCR法及びWestern Blot法では対照群に比べ、抗うつ薬投与において有意な発現の増加が認められた。 (2)ADRG15は、7回膜貫通型受容体ファミリーのマウスFrizzled-3 Proteinと96.3%の相同性を示した。Cap Site Hunting法及び3'RACE法によりラットの全長をクローニングし、RT-PCR法にて発現の差を定量化した。また、全身及び脳内発現の分布をNorthern Blotting法及びin situ hybridization法にて検討した。 (3)その他、カルシウムチャンネルの制御に不可欠な蛋白、情報伝達系などさまざまなcellular processに関与している蛋白などが認められた。また、これまでに同定されていない未知遺伝子も多数認められた。今後、得られた個々の遺伝子について、発現量の差を定量、全塩基配列のクローニング、発現の分布等の検討を加えていく予定である。
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