研究概要 |
現在までの精神分裂病の遺伝学的研究により,分裂病の病因には異種性が存在すると考えられる。その異種性を考慮しながら,病因を解明していく必要がある。そこで,平成11年度に引き続き,精神分裂病患者でハロペリドールの内服治療で精神症状が改善し,維持療法として,ハロペリドール低用量で安定した状態を維持している患者を治療反応性の良い患者群(A群),ハロペリドールの高用量を内服しても1年以上幻覚妄想状態が続いている患者群を治療反応性の良くない群(B群)として,また,健常対照群をC群として,各々の対象から同意を得て,採血し,DNAを抽出した。そしてDRD4遺伝子多型性の検索を施行している。 また精神分裂病の疾患家系において表現促進現象が時に認められることより,3塩基反復配列伸長の関与が推定されている。そこで,我々は,本年度はhSKCa3(human small condactance calsium-activated potassium channel)遺伝子多型と分裂病との関連を調べることをもう一つの目的とした。hSKCa3は,カルシウム依存性のK+チャネルで,そのexon内にCAG repeatを有しており,CAG繰り返し数に多型があることと,分裂病患者で有意にCAGのリピート数が多いことが報告された(Chandyら)。今回,一等級親族に遺伝負因のある分裂病患者群(L(+)群)と負因を認めない群(L(-)群)との2群におけるCAGのリピート数について検討を行った。(方法)L(+)群,L(-)群および健常対照群の各々のDNAについて,PCR増幅。DNA sequencerにて,ポリアクリルアミド・ゲルで分離し,フラグメント解析を行った。(結果)現在各群の解析結果について,整理し,統計学的に有意差を検討中である。
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