研究概要 |
精神分裂病の発症脆弱性に関連する遺伝子座位を見出すことを目的として,第19番および20番染色体上にある23カ所のDNAマイクロサテライトマーカーについて,精神分裂病群(n=322)と健常対照群(n=196)の2群間で,各DNAマーカーのアリール出現頻度の比較を行った。その結果,D19S209の精神分裂病群と健常対照群,D20S178とD21S1256の健常対照群において,ヘテロ接合体の出現頻度がHardy-Weinbergの平衡法則から得られる理論値よりも有意に(P<0.05)低かった。また23カ所のDNAマーカーのうち9カ所で日本人とフランス人の間にヘテロ接合体の出現頻度に有意な差がみられた。Bonferroniの多重比較補正後の精神分裂病群および健常対照群におけるアリール出現頻度の群間比較では,D19S209,D20S95,D20S118の3カ所で有意差が認められた。ただし,ヘテロ接合体の出現頻度がHardy-Weinbergの平衡法則から得られる理論値よりも有意に低かったD19S209については,考察対象から除外した。今回の結果から,D20S95の近傍にあるchromogranin Bをコードする遺伝子(CHGB)およびD20S118の近傍にあるproprotein convertase sublilisim/kexin type2遺伝子(PCSK2,PC2)が,精神分裂病の発症と何らかの関連を有する可能性が示唆された。
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