研究概要 |
われわれは精神分裂病の発症脆弱性に関連する遺伝子座位を見いだす試みとして、DNAマイクロサテライトマーカーを用いた症例・対照群の比較によるゲノムスキャンをすすめており、前年度までに第19番および20番染色体上の23マーカーについてのスクリーニング解析を行ってきたが,その結果として,20番染色体上の2つのマーカーであるD20S95とD20S118において症例対照間に有意な差が認められた。今年度はまずこれら両部位のマイクロサテライト部位について群間比較試験を症例数を増やして再検討してみたところ,D20S95には有意差(p<0.000010)がみられたが,D20S118ではその差は有意傾向(p<0.060)にとどまった。D20S95の近傍にはChromogranin B(CHGB)遺伝子があり、D20S118の近傍にはProprotein convertase sublilisim/kexin type 2(PCSK2)遺伝子があることから,D20S95よりもさらにCHGBに近傍のマイクロサテライトマーカーであるD20S882と,PCSK2のpromorter領域およびintron-2に含まれるリピート多型について,精神分裂病患者231名と健常対照者220名を対象に2群間の遺伝子関連解析を行った。その結果,D20S882ではp<0.001で有意差が認められたが,PCSK2では有意な差は認められなかった。以上の結果から,CHGB遺伝子が精神分裂病と何らかの関連を有する可能性が示唆された。
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