同種造血幹細胞移植における単球をはじめとするAccessory Cellsの機能を解析して、移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病(GVL)という観点からその免疫応答に対する影響について検討した。 同種造血幹細胞移植後の末梢核球における同種免疫応答を制御しうる分子であるKiller cell inhibitory receptor(KIR)の発現を検討したところ、急性期においてはNK細胞においてまた慢性期においてはT細胞においてKIRの発現が亢進することを見い出した。特に、慢性GVHD患者においてKIRのCD8陽性細胞における発現が亢進していた。この傾向は、予後の良好な患者において顕著でありそのような患者においては再発が認められなかった。このようなT細胞におけるKIRの発現亢進はGVHDに対して抑制的に作用している反面GVL効果には促進的に作用している可能性が考えられた。 また同種末梢血幹細胞移植に用いる、ドナーにG-CSFを投与した後のapheresis product(G-PBMC)をリンパ球混合培養試験によって刺激すると、G-PBMC由来のT細胞にKIRの発現が亢進する傾向が認められた。またこの際、T細胞におけるKIRの発現には単球の関与が推測されCD14陽性細胞をG-PBMCから除去するとその発現が低下した。一方、CD14陽性細胞を加えるとその発現が再度亢進した。このようなKIRのG-PBMCにおける発現亢進が同種末梢血幹細胞移植後のGVHD制御に関与している可能性が示唆された。
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