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1999 年度 実績報告書

MDS/AML発症に関与する染色体不安定性の機構の解明:Fanconi 貧血からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 11670982
研究機関東京大学

研究代表者

山下 孝之  東京大学, 医科学研究所, 助手 (10166671)

研究分担者 浅野 茂隆  東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
中畑 龍俊  京都大学, 医学部, 教授 (20110744)
キーワードファンコニ貧血 / 白血病 / 染色体不安定性 / リン酸化 / 蛋白リン酸化酵素
研究概要

Fanconi貧血は(FA)は、小児期に発症する進行性の骨髄不全、白血病を始めとする悪性腫瘍の多発などを特徴とする常染色体性遺伝疾患であり、特に白血病発症の遺伝モデルとして注目を集めている。患者細胞は染色体不安定性やmitomycin CなどのDNA架橋剤に高感受性を示すという特徴を持つ。遺伝的に異なる8群(A〜H群)に分類され、A群,C群,G群の遺伝子(FANCA,FANCC,FANCG)が近年同定され、これらの産物蛋白が結合して核内へ移行することが最近報告されたが、その機能は不明である。私共は最近、FANCA蛋白がリン酸化を受け、このリン酸化とFANCA/FANCCの結合およびその核内への移行がD群以外のすべて(A,B,C,E,F,G,H群)の細胞で阻害されていることを見出した。したがって、FANCA、FANCCのこれらの作用は他のFA蛋白群の制御を受けつつ、FAの病態における中心的経路を形成すると考えられる。そこで、この経路の分子機構を解明するために、FANCAリン酸化の分子機構について解析を行い、以下の知見を得た。(1)FANCAは種々の異なる細胞においてリン酸化を受ける。(2)そのリン酸化酵素(FANCA-PK)は、FANCA蛋白と複合体を形成し、主に細胞質に存在するセリンキナーゼである。またwortmanninに感受性があることから、PIキナーゼ・ファミリーに属するかもしれない。(4)FANCAリン酸化のみではFA分子経路が機能する上に十分ではない。(5)しかし、FANCAの患者由来の変異体(H1110p,R1117G)を用いた実験結果は、FANCAの機能とリン酸化が密接に相関することを強く示唆する。以上より、FANCAのリン酸化部位を決定し、FANCA-PKを同定することは、FA分子経路を理解する上に重要であると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kupfer, G., Yamashita, T., et al.: "A patient-derived mutant of Fanconi anemia protein, FANCA, is defective in nuclear accumulation"Exp Hematol. 27. 587-593 (1999)

  • [文献書誌] Yamashita, T. et al.: "A serine protein kinase binds and phosphorylates the Fanconi anemia protein FANCA in the cytoplasm"Blood. 94(suppl.1). 409a (1999)

  • [文献書誌] Futaki,M.,Yamashita,T.et al.: "The IVS4+4→T mutation of the Fanconi anemia gene is not associated with a severe phenotype in Japanese patients"Blood. 95. 1493-1498 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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