研究概要 |
AMLとCML急性転化例において白血病由来樹状細胞の培養を試み、白血病由来樹状細胞で自己リンパ球を刺激することにより白血病細胞に対するCTLの誘導を試みた。AML30例とCML急性転化3例についてGM-CSF+IL-4+TNF-αを加えた樹状細胞の培養を行った。培養前の白血病細胞はCD1a,CD83,CD80がほとんど陰性であった。樹状細胞の培養を行ったAML30例のうち、21例において、またCML急性転化3例のうち2例において、胞体に多数の突起を有する樹状細胞様細胞が認められ、CD1a and/or CD83陽性細胞が出現した。これらの白血病由来樹状細胞の白血病クローン由来については、染色体異常(45,XX,-7)を示すM2症例において、培養細胞のうちCD1a^+細胞を純化し、FISH解析を行い、その97.4%に7monsomyが証明されたことにより確認した。白血病由来樹状細胞の培養が可能であった症例のうち、検討した10例すべてにおいて、培養白血病細胞はallo MLCで強い抗原提示能が認められ、また検討し得た2例においては、auto MLCで、自己のリンパ球に対する抗原提示能も認められた。FAB分類では、M5aやM5bの単球系急性白血病や、M0、M1の骨髄芽球性急性白血病の他、M2、M3の顆粒球系に分化した白血病細胞からも樹状細胞の培養が可能であった。また、GM-CSF+IL-4+TNF-αにより誘導した白血病由来樹状細胞で刺激した自己リンパ球は、IL-2を加えて培養することにより、T cell lineの作成が可能で、これらのT cell lineは、自己白血病細胞に対するCTL活性が認められたが、寛解期の自己のリンパ球に対する障害作用は認められなかった。AML症例の70%程度から、また、CML急性転化3例のうち2例において白血病由来樹状細胞の培養が可能で、これらの細胞は自己のリンパ球に対する抗原提示能を有し、白血病細胞に対するCTLを誘導することから、白血病由来樹状細胞は抗白血病免疫療法に応用できるものと考えられた。
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