研究概要 |
アポトーシスの重要な生化学的なマーカーとして、アガロースゲル電気泳動上のDNAラダー(DNAの梯子状断片化)が幅広く知られている。このDNAの梯子状断片化という現象は、細胞内のエンドヌクレアーゼの活性化の結果であると考えられているが、エンドヌクレアーゼの実体に関しては、未だ充分には解明されてはいない。このエンドヌクレアーゼの活性化という現象はアポトーシスを誘導を決定する鍵となる現象のひとつであり、このメカニズムを解明することは、アポトーシスを考察するうえでも極めて重要であると考えられる。 アポトーシスの誘導過程においてCaspase 3はアポトーシス実行の中心的役割を果していると考えられている。一方、今日までに、アポトーシス誘導に関与するエンドヌクレアーゼの候補としてDNase I,DNase II,Nuc 18など幾つものヌクレアーゼが、報告されてきた。最近になり、Caspaseによって制御され、アポトーシスの際に特異的な活性化されるという興味深い特徴をもったヌクレアーゼとして、CADが報告された。 我々は、ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60より、アポトーシスの際に活性化されるエンドヌクレアーゼAN34を分離精製した(Yoshida A et al., Cancer Res)。このAN34のcaspaseによる活性化のメカニズムを検討するために以下の検討をおこなった。まず、無処理のHL-60細胞の細胞質を分離し、recombinant casapse 3を加え37℃,30 min incubate後、このmixtureをGel filtration columnに添加し分析した。さらにQ-sepharose,Heparine-sepharose,Mono Sに添加し検討した。その結果AN34はcaspase 3によって活性化されることがわかった。
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