本研究では、このFMEVタイプのベクターを、効率良くヒト造血幹細胞(CD34+/CD38-)へ導入することを目的として、以下のことを行う。 (1)ストローマ細胞株を用いた、新たなアンフォトロピック・パッケージング細胞株を樹立する。また、水泡性口内炎ウイルス(VSV)G蛋白やギボン白血病ウイルス(GALV)のenv蛋白とのシュードタイプ・ベクターを産生するパッケージング細胞株を樹立する。これらの細胞を用いて、ヒト造血幹細胞(CD34+/CD38-)への外来遺伝子導入効率を検討する。 (2)上記の方法を用いて、ヒトSP細胞に外来遺伝子導入を試みる。 (3)ヒトSP細胞、CD34+/CD38-細胞を標的細胞として外来遺伝子を導入し、SRC(SCID-mouse repopulating cell)への導入効率を比較し、どちらの細胞が標的細胞として、より適当であるかを検討する。 平成11年度には、以下のことを行った。 1)VSVG蛋白の一過性誘導型発現ベクターのプラスミドを、gag/pol遺伝子を高発現するストローマ細胞のクローンに遺伝子導入した。 2)GALVのenvのcDNAを、gag/pol遺伝子を高発現するストローマ細胞のクローンに遺伝子導入するための発現ベクターを作成した。これを、gag/pol遺伝子を高発現するストローマ細胞のクローンに遺伝子導入し、ストローマ細胞由来のパッケージンク細胞を作成中である。 3)マウスNIH3T3細胞由来のアンフォトロピック・パッケージンク細胞、上記のストローマ細胞由来のパッケージング細胞に、ウイルス・ベクターのプラスミドを導入し、ウイルスベクターの産生細胞を作成中である。
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