研究課題/領域番号 |
11670998
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 弘和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10311755)
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研究分担者 |
北山 等 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00294083)
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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キーワード | レセプターチロシンキナーゼ / KIT / 活性化変異 / 二量体化 / ras |
研究概要 |
造血細胞には種々の造血因子レセプターが発現され、そのシグナル伝達系の破綻は腫瘍化の一つの原因となっている。我々は、幹細胞因子(Stem Cell Factor: SCF)受容体であるKITレセプターチロシンキナーゼに恒常的活性化突然変異が存在することを見い出した。これらの活性化変異はKIT遺伝子の膜直下領域(KIT_<G559>)およびキナーゼ領域(KIT_<V814>)に存在し、正常型KITとは生物作用が異なり腫瘍原性をもつことを確認した。 本年度の研究では、正常型KITと上記変異型KITの細胞内シグナル伝達の差異をさらに解析した。最初にシグナル伝達の重要な初期過程であるレセプター分子二量体形成について、細胞外領域のdeletion mutantおよび他の膜結合型タンパクとのchimera mutantを作製し、二量体形成に関わるKITの構造、活性化、細胞増殖におよぼす影響について検討した。正常型KITはリガンド依存性に細胞外領域(リガンド結合部位)でassociateするのに対し、キナーゼ領域の変異および膜直下領域の変異ともに細胞外領域を欠失させたmutantレセプターもself-associateすることを確認した。さらに膜貫通領域をsrc myristylation signal配列に置き換えても,src-KIT_<G559>,src-KIT_<V814>ともに二量体化が認められ、これらの変異KITでは細胞内領域で恒常的二量体化、活性化し腫瘍原性を付与すると考えられた。またLac-inducible SystemによりKITの下流シグナル分子の変異体を発現させた実験では、dominant negative rasは正常型KITのSCFによる増殖は軽度しか抑制しないのに対し、キナーゼ領域の活性化変異型KITの造血因子非依存性増殖は強く抑制した。キナーゼ領域変異の腫瘍化シグナルは特にras-MAPK系に強く依存していると考えられた。
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