研究概要 |
CD36陽性、sialyl-Tn陽性の赤芽球系細胞株を樹立し、EEBと名付けた。EEBは、0.5%牛胎児血清を含むKLS培地に10%牛胎児血清を添加した培地で、約2年間継代培養している。細胞の形態は、細胞質の好塩基性が強く、未熟な赤芽球様細胞である。表面抗原検査では、CD36陽性でglycophorin Aは弱陽性である。モノクローナル抗体を用いた糖鎖発現の検討では、sialyl-Tn陽性、sialyl-T陽性、Tn陰性、T陰性であった。また、胎児型赤血球に発現するi陽性であった。電顕での検討では、myeloperoxidase陰性、platelet peroxidase陰性で、ferritin顆粒陰性であった。染色体分析では、46,XYと正常核型を呈した。分化能の検討では、TPA添加によって、付着しmacrophage様形態を呈した。retinoic acid添加では変化しなかった。heminとbutyric acid添加によって、ベンチジン陽性細胞の誘導を認め、赤芽球への分化能が保持されていることが判明した。サイトカインへの反応性を検討したところ、IL-6とGM-CSF添加によって細胞数の増加を認めたが、G-CSF,IL-3,TNFα,IL-4,Epoの添加では細胞数に変化を認めなかった。また、これらのサイトカインの添加によって、細胞分化は誘導されなかった。
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