研究概要 |
CD36陽性、糖鎖抗原のsialyl-Tn陽性、neuron specific enolase陽性で、他の骨髄系抗原陰性、リンパ系抗原陰性、glycophorin A陰性、HLA-DR陰性、CD34陰性の急性白血病を経験した。当初、細胞のlineageが同定されなかったが、RT-PCRでglobin mRNAの発現を認めたことから、early erythroblastic leukemiaと診断した。患者の末梢血の白血病細胞を継代培養し、細胞株を樹立した。樹立した細胞株(EEB)は、peroxidase陰性、esterase陰性であった。細胞表面抗原の検討では、CD36陽性、CD71陽性、glycophorin A弱陽性で、骨髄系抗原陰性、リンパ系抗原陰性、CD34陰性、Thy-1陰性、CXCR-4陰性、HLA-DR陰性であった。糖鎖抗原の検討では、sialyl-T陽性、sialyl-Tn陽性で、disialyl-T弱陽性であった。免疫化学では、細胞内のneuron specific enolase陰性であった。RT-PCRでÅAglobin mRNAの発現を認めた。電顕の検討では、myeloperoxidase陰性、血小板peroxidase陰性、ferritin顆粒陰性であった。染色体分析では、46,XY。以上から、EEB細胞は、CFU-Eに相当すると考えられた。EEB細胞、Bリンパ腫細胞、胃癌細胞の細胞膜を可溶化し、抗sialyl-Tn抗体を用いてWestern blotを行い、得られたsialyl-Tn蛋白の分子量を比較したが、細胞の種類にかかわらずsialyl-Tn蛋白の分子量ほぼ同一であった。今後、EEBの細胞増殖、接着、赤芽球への分化におけるsialyl-Tnの役割を検討する予定である。当初、ラクト系1型糖鎖(sialyl-Lewisa等)の単球での発現が示唆されたが、その後の検討で単球のFc receptorに抗体が結合した非特異的反応であるこが判明した。
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