研究概要 |
急性前骨髄球性白血病(APL)は,all-trans retinoic acid(ATRA)による分化誘導療法が有効なことで特徴的な白血病である.しかし,ATRAを長期投与すると耐性が出現することが大きな問題であり,ATRA耐性の克服が今後の臨床応用のためには重要な課題である.当研究室において樹立されたUF-1は,ATRAに自然耐性を示した世界で唯一の細胞株であり,これを用いてATRA耐性の研究を進めている. 既に我々は,UF-1においてPML-RARα遺伝子のATRA結合ドメインにATRAとの結合能を低下させる点突然変異を見出している.この突然変異が確かに患者由来のものであることを証明するために,保存されていた患者検体からRNAを抽出し,RT-PCRを行い突然変異の有無を検討した.その結果,全く同一の突然変異が検出され,UF-1は確かにin vivoのATRA耐性を反映していると考えられた. この突然変異が直接ATRA耐性に関与していることを証明するためには,ATRA感受性の細胞株にこの変異PML-RARα遺伝子を強制発現させ,ATRA耐性が獲得されるか否かを調べればよい.現在,ATRA感受性のNB4細胞,U937細胞に変異PML-RARα遺伝子の導入を行っている.
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