研究課題/領域番号 |
11671021
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 英紀 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30158977)
|
研究分担者 |
青木 一正 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10184029)
|
キーワード | platelet / adhesion / focal contact / FAK / PI3-K / electron microscopy / immunoelectron microscopy |
研究概要 |
血小板の粘着実験系ではしばしば凝集が混在するために、純粋に粘着のみのシグナル伝達系の解析は困難であった。平成11年度は、新たに考案した静止下の実験系で血小板をコラーゲンに粘着させた。すなわち、コラーゲン固相化平底培養瓶に洗浄血小板(10^8/m1)を入れ、37℃で10分間コラーゲンに接着させ、洗浄、HEPES-Tyrode液を充満後、血小板接着面を下向きにして以後の血小板の接着を防止、さらに30、60および90分間粘着、伸展させた。この操作で凝集像はほとんど観察されなかった。これらの血小板におけるシグナル分子を同定するために、まずチロシンリン酸化反応を抗リン酸化チロシン抗体4G10を使うイムノブロット法で検討した。さらに、これらの血小板を固定し、走査型電子顕微鏡でその外観を観察した。またこの粘着時に、血小板の基底側細胞膜に形成される接着装置に集積すると思われるGPIIb/IIIa、タリン、ビンキュリンおよびFAKの分布を知るために、それぞれの抗体を使う免疫蛍光法で観察した。10分間の接着で、血小板は偽足を延ばして星状に粘着し、30分以降ほぼ同相に伸展した。Srcのチロシンリン酸化は10〜90分でほぼ一定量の活性を示した。Sykは60分まで活性が上昇し、90分では減少傾向を示した。FAKは90分まで時間依存性の活性上昇がみられた。また、110kDaの蛋白のリン酸化もFAKと同様な挙動を示した。PGE_1、RGD、EDTA存在下では十分な伸展像がみられず、いずれのチロシンキナーゼの活性化は抑制された。サイトカラシンD存在下では、円盤状を示し、チロシンリン酸化は完全に抑制された。ビンキュリンおよびFAKは他の細胞でみられるように集積した染色像を示したが、GPIIb/IIIaおよびタリンは集積せず、瀰漫生に染色された。今後、110kDa蛋白の同定を試みる予定である。
|