研究課題/領域番号 |
11671021
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 英紀 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30158977)
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研究分担者 |
青木 一正 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10184029)
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キーワード | platelet / adhesion / focal contact / FAK / PI3-K / electron microscopy / immunoelectron microscopy |
研究概要 |
平成12年度は、血小板凝集時におけるシグナル分子、特にFocal Adhesion Kinase(FAK)およびPI3-キナーゼの機能と動態に関する超微形態学的検討を行った。FAKは免疫電顕法で検討すると、無刺激血小板では細胞質に均等に分布するが、トロンビン刺激で変形した血小板では表面膜直下、またはその近傍で主に検出された。この時点では、FAKのチロシンリン酸化はまだ惹起されず、30秒以降に出現した。そこで、このFAKの移動とチロシンリン酸化の関連をさらに追求した。トロンビン刺激によるFAKのチロシンリン酸化は、血小板を細胞内Ca^<2+>キレーターのBAPTA-AMとPKCの阻害剤であるbisindolylmaleimideによる併用前処理で抑制された。この時、血小板は放出および凝集反応が抑制されたが、偽足の伸張と顆粒の中心化の変形像は示した。FAKは対照血小板のトロンビン添加直後のものと同様に、細胞膜直下およびその近傍に分布した。さらにサイトカラシンDを加えた3者による前処理では、形態変化とFAKの移動も抑制された。従って、FAKの移動はチロシンリン酸化非依存性であり、それ以前に惹起される細胞骨格の再構成に依存すると考えられた。一方、血小板粘着および凝集時におけるPI3-キナーゼの役割を検討するために、その阻害剤であるwortmaninnまたはLY294002を使って検討した。これらは血小板粘着時の伸展と凝集を解離させ、凝集後半に見られる110kDa蛋白のチロシンリン酸化も抑制した。すなわち、阻害剤は伸展と凝集というαIIbβ3インテグリンの機能を抑制したことから、PI3-キナーゼはαIIbβ3の活性化維持に関与すると考えられた。また、PI3-キナーゼノックアウトマウスの血小板は対照マウス血小板に比べてコラーゲン凝集が抑制されることを確認した。さらに、αIIbβ3の活性化維持にはPI3-Kを介する110kDa蛋白のチロシンリン酸化が必須と考えられた。
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