研究概要 |
1.EBウイルスの関与した節性T/NKリンパ腫の臨床病理学的検討 愛知県がんセンターに紹介のあった節性T/NKリンパ腫検体227例の詳細な解析を行い、細胞傷害性分子であるGranzymeBおよびTIA1が陽性である、細胞傷害性分子陽性リンパ腫と考えられる一群の疾患概念を提唱した。さらに、その中に従来のNK/T細胞性リンパ腫とは異なり、cytotoxic large T cell lymphomaと呼ばれるべきEBウイルスの感染した高悪性度T/NKリンパ腫が存在することが明らかとなった。 2.鼻型NK/T細胞性リンパ腫由来細胞株HANK1の特性に関する研究 我々の樹立したNK/T細胞性リンパ腫由来細胞株HANK1は、EBウイルス抗原に対するウェスタンプロットの結果EBNA1の発現が認められたが、LMP1の発現は、微弱であった。さらにNK/T細胞性リンパ腫に特徴的である、CD7,CD56抗原の役割を検討するため、HANK1の増殖における抗CD7,CD56抗体添加の影響について、MTT assayを用いて検討したところ、抗体存在下では、増殖抑制と細胞死が観察された。今後この機構につき、細胞内シグナル伝達系を含め検討する予定である。 3.鼻型NK/T細胞性リンパ腫に対する細胞傷害性T細胞クローンの誘導 HANK1細胞のHLA型につきDNAtypingを行ったところ、HLA-Aが0207と2402であり、日本人に比較的頻度の高い型であった。同一のHLA型をもつ健常者より、lynphoblastoid cell lineを樹立し、現在細胞傷害性T細胞クローンの選択を施行中である。
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